「ブラックは活発で気が強い」「ホワイトはおっとりして甘えん坊」といった言説が、ネット上の掲示板やコミュニティで頻繁に語られます。しかし、動物遺伝学および行動学の観点から見ると、ミニチュアシュナウザーの毛色と性格の間に直接的な因果関係を示す科学的根拠は存在しません。
犬の被毛の色を決定するのはメラニン色素(ユーメラニンとフェオメラニン)の生成に関わる遺伝子座(E、K、A、B座など)であり、これらは脳内の神経伝達物質や情動制御の遺伝子とは異なる染色体領域で独立して遺伝します。
では、なぜ飼い主や愛好家の間で「色による性格の傾向」が語られるのでしょうか。長年ショードッグの育成を手掛ける専門ブリーダーは、業界関係者への取材に対して次のように証言しています。
「性格の違いとして体感されるものの正体は、毛色そのものではなく『血統ライン(ブリーディングの系統)』の違いです。例えばソルト&ペッパーは何世代にもわたりショードッグや家庭犬として気質が固定化された健全な血統が豊富です。一方、ホワイトや新興の血筋では、特定の種オスや台メスの性格特性が色濃く引き継がれているケースがあり、それが『色の性格』として誤認されやすいのです」
個体の性格を決定づける要因は、毛色ではなく「親犬から受け継いだ気質」「生後3週〜12週齢の社会化期の過ごし方」「飼い主のしつけと飼育環境」の3点に集約されます。