ベトナム語において、単なる「Xin chào」はニュースのアナウンサーが不特定多数の視聴者に語りかけるような、極めてフォーマルで距離のある響きを持つ。街中やオフィスで心を通わせる挨拶を交わすには、相手と自分との関係性や年齢差を表す人称代名詞を組み合わせる必要がある。
基本となるのは「Chào + 相手を表す人称代名詞」という構文だ。自分より年上の男性なら「Anh(アン)」を付けて「Chào anh」、年上の女性なら「Chị(チー)」を付けて「Chào chị」となる。自分より若い相手や子どもに対しては「Em(エム)」を用いて「Chào em」と呼ぶ。年配の相手には「Bác(バック)」や「Ông(オング)」を使うなど、相手への敬意が細かく言葉に組み込まれているのだ。挨拶ひとつ取っても、相手を観察し敬う姿勢が日常会話の前提にある。