日本国内におけるモルモン教徒の芸能人として、真っ先に名前が挙がるのが女優の斉藤由貴です。1984年のデビュー当時、彼女が公の場で語った「コーヒーや紅茶を飲まない」「純潔を守る」といった姿勢は、当時のアイドル界において清純派としての強烈なアイコンとなりました。
斉藤は敬虔な信者家庭で育ち、教会生活が日常の基盤にありました。しかし、幾度となく報じられた不倫疑惑の際には、「厳格な戒律を重んじる教会で、どのような処分が下されたのか」がメディアの格好の標的となりました。教会関係者への取材や当時の報道記録によると、教会の戒律違反に対する処置は即座の破門(除名)ではなく、悔い改めのプロセスを経る「陪餐(ばいさん)停止」などの段階的指導が行われるのが通例です。本人が過去の手記やインタビューで明かした「弱さを抱えた一人の人間としての苦悩」は、厳しい戒律と個人の情動の間で激しく揺れ動いた足跡を物語っています。
一方、外国人タレントのパイオニアとして『ここがヘンだよ日本人』などで一世を風靡したケント・デリカットとケント・ギルバートの2人も、教会の専任宣教師として来日した経歴を持ちます。ケント・デリカットの現在については、テレビ露出は落ち着いたものの、米国ユタ州と日本を行き来しながら実業家として手腕を発揮し、教会の慈善活動にも精力的に参画しています。また、保守系言論人・弁護士として発信を続けるケント・ギルバートの宗教的価値観も、モルモン教特有の勤勉さと論理性をベースにした自己規律に根ざしていると公言しています。