日常会話やビジネス文書で頻出する「三」の四字熟語には、意外な落とし穴が潜んでいる。例えば「三寒四温」。冬期に寒さと暖かさが交互に訪れる気候を表す言葉だが、本来は中国東北部や朝鮮半島などの冬の気候を指したものであり、厳密には春先ではなく真冬の季語に近い性質を持つ。現代の気象報道などでは春の訪れを告げる文脈で使われることが定着しているが、文脈に応じた使い分けを理解しておくことが教養人の嗜みといえる。
また、「朝三暮四」も誤用されやすい典型例だ。「目先の違いに惑わされて同じ結果であることに気づかないこと」、転じて「口先で人を巧みにだますこと」を意味するが、これを単に「朝令暮改」のように「方針がコロコロ変わること」と混同しているビジネスパーソンは少なくない。確かな意味の把握こそが、プロフェッショナルとしての信頼を担保する。