臨床データにおいて、ETS手術後の代償性発汗の発現率はほぼ100%に近く、何らかの形で他部位の汗が増えることは避けられません。そのうち、「生活に支障をきたすレベルで後悔している」と回答する割合は全体の5〜10%程度、軽度から中等度の不満を含めるとさらに高い比率に達します。
さらに深刻なのは、「代償性発汗は一度起こると基本的に治らない」という点です。神経を完全に切断・焼灼した場合、その神経組織を元の状態へと再生させる有効な治療法は存在しません。
かつては「後悔したらクリップを外せば元に戻せる」という触れ込みで、チタン製クリップで神経を圧迫する交感神経クリッピング手術が普及した時期もありました。しかし実際の医療現場では、長期間クリップで圧迫された神経組織は不可逆的な変性を起こしており、クリップを除去しても機能が回復しないケースが多発しました。結果として、クリッピングであっても後遺症リスクは切断と大差ないという見解が定着しています。