肯定派が頻繁に引き合いに出すもう一つの材料が、欧州を中心とした海外の恋愛観、とりわけフランスの不倫観です。「フランスでは大統領の不倫も私生活として不問に付される」「アムール(愛)こそが至高の価値観」といった言説が都合よく引用されます。
しかし、フランス社会における寛容さは、自立した個人同士の成熟した契約意識や、事実婚(PACS)などの法制度が重層的に整備されている土壌の上に成り立っています。公私の分離を徹底する文化的背景を無視し、都合のいい「不倫の自由」だけを切り取って日本社会に持ち込むのは極めて乱暴な議論です。
日本の社会通念においては、婚姻関係は単なる恋愛感情の延長ではなく、強固な相互扶助義務と誠実義務を伴う法的な契約です。異国の文化を都合よく言い訳に仕立て上げる論法は、日本国内では何ら説得力を持ちません。