歴史ファンなら絶対に見逃せないのが、春と秋の好期に催される秘仏の特別公開だ。本堂内に安置された本尊・文殊菩薩騎獅像をはじめ、普段は非公開となっている貴重な仏像群がその全貌を現す。特に知恵を司る文殊菩薩の端正な顔立ちと、気迫あふれる獅子の躍動感は、歴史観光・仏教美術に親しむ旅行者を深く唸らせる完成度を誇る。
さらに、境内中央にそびえる重層の十三重石宝塔(重要文化財)から発見された初層軸部の秘仏開扉など、限定拝観の時期には境内の緊張感が一段と増す。薄暗い堂内に差し込む柔らかな光に浮かび上がる金泥や彩色、そして緻密な彫刻の陰影。間近で対峙したときに伝わってくる圧倒的な造形力は、写真や図録では決して味わえない、生きた祈りの迫力に満ちている。