本作の表現スタイルにおいて、多くの批評家が指摘するのがスタジオジブリ作品が持つ特有の美学との共通点だ。特に、自然の威容と人間のエゴの衝突を描くテーマ性は、巨匠宮崎駿監督が長年描いてきた思想的系譜を感じさせる。しかし本作は、より深く重厚な毒を含んだ本格派ダークファンタジーとして独自の境地を切り拓いている。
物語の舞台は、巨大な菌類が地上を覆い尽くした退廃的な近未来。人間と異形の生命体が共生と捕食を繰り広げる過酷な世界で、主人公の少女が森の深部に眠る古の秘密を解き明かしていく。圧倒的な没入感をもたらす長編アニメーション映画として、美しくも残酷な神話を紡ぎ出すストーリー構成は、観客の倫理観を激しく揺さぶるはずだ。