早朝の霧が晴れると、石畳を覆う人波。かつて夢の目的地だった名所が、いまや人嫌いの旅行者を遠ざける場所へと変わりつつある。
イタリアのヴェネツィアでは、日帰り客に対する入場料徴収制度がさらに厳格化された。ペルーのマチュピチュもまた、1日の入場者数上限を厳格に管理せざるを得ない。かつて「死ぬまでに一度は行きたい」と称賛されたスポットの多くが、過剰な観光客による環境悪化と戦っている。世界中から観光客が殺到した結果、現地の人々の生活が脅かされ、遺産自体の保全費用が跳ね上がる悪循環。旅行者が求める「感動」は、大行列と押し合いへし合いの中で薄れていく。