米国立公文書館(NARA)の保管庫から解禁された占領期の極秘ファイル。そこには、宮中祭祀の代表格であった新嘗祭が、現在我々が知る「勤労感謝の日」へと変貌を遂げていく詳細なプロセスが記録されている。GHQはいかなるロジックで古代からの神事を解体したのか。
占領初期、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の民間情報教育局(CIE)宗教課は、新嘗祭の持つ宗教的・国家的色彩を剥ぎ取る方針を確定させた。マッカーサーの意図は明確だ。収穫を感謝し神と天皇が一体となる儀式は、旧来の統治機構の連綿たる継続を印象づけてしまう。そこで彼らは、「収穫への感謝」という伝統的意味合いを、「産業と勤労全般への感謝」という近代的な労働概念へと意図的に擦り替える戦略をとった。
解禁文書には、宮内府(現・宮内庁)側が「新嘗祭」の名称存続を求めて抵抗したやり取りも残る。だがGHQ側はその要求を蹴り、祝日名からの完全排除を突っぱねた。これこそが、日常の裏側に潜む伝統変革の歴史的真相である。