人類側最高峰の武者であるハンター協会会長アイザック=ネテロとの闘いは、作品屈指の名勝負として名高い。ネテロが放つ「百式観音」の無数の打撃を、メルエムは圧倒的な思考速度と耐久力で分析し、自らの体の一部を失うことなく破ってみせた。純粋な個人の鍛錬による「武の極致」において、メルエムの勝利は揺るぎないものだった。
しかし、その結末に待っていたのは「貧者の薔薇(ミニチュアローズ)」という安価な小型兵器に仕込まれた劇薬毒だった。一個人の武の到達点を超えた、人類という種全体が持つ「底すらない悪意(進化の歴史)」の前に、最強の王も抗うことはできなかった。個の強さと種の生存戦略という対比が、読者に深い教訓を与えている。