主人公・黒目すいを演じた飯豊まりえの佇まいは、観る者の胸を強く締め付ける。18歳から28歳までの10年間、部屋に閉じこもりカーテンの隙間からしか世界を見つめられなかった孤独。飯豊はその痛切なブランクを、怯えるような声の震えやぎこちない歩き方を通じて生々しく体現した。
単に同情を誘う悲劇のヒロインにとどまらない。他者と交わる恐怖に震えながらも、一歩ずつ自らの足で過去の呪縛を踏み越えようとする眼差しの力強さ。物語が進むにつれて色彩を取り戻していく表情の変化は、彼女が俳優として新たなステージへ到達したことを如実に物語っている。