結論から整理すると、ダイソンという企業を1つの国名だけで定義することは困難です。歴史的なアイデンティティとしてのダイソン創業国はイギリスですが、現在の法的な統括拠点としてのダイソン本社はシンガポールに所在しています。
創業者であるジェームズ・ダイソン(Sir James Dyson)が1991年に会社を興したのは、英国イングランド西部のウィルトシャー州マルムズベリーでした。そこで生み出されたサイクロン技術が世界中を席巻したため、「英国発祥のプレミアムブランド」というパブリックイメージが定着しました。
しかし、経営の中枢機能はすでに赤道直下の島国に移っています。現在、最高経営責任者(CEO)を含むエグゼクティブ陣が常駐し、戦略的意思決定を下しているのはシンガポール中心部のウォーターフロントです。つまり、企業カルチャーやデザイン哲学の源流は英国にありながら、多国籍企業としての国籍はシンガポールにシフトしているというのが客観的な事実です。