大塚国際美術館のチケット窓口を訪れた人がまず直面するのが、一般当日券3,300円(税込)という価格設定です。日本の国公立美術館の特別展が一般的に1,800円〜2,200円程度であることを考えると、この料金は国内の美術館の中で最高峰の部類に入ります。「高額すぎるのではないか」という事前の懸念を抱く来館者も少なくありません。
しかし、エントランスから全長41メートルのエスカレーターを上り、地下3階の展示フロアへ足を踏み入れた瞬間、その疑念は驚愕へと変わります。目の前に現れるのは、バチカンのシスティーナ礼拝堂を原寸大で空間ごと完全立体再現した「システィーナ・ホール」です。天井画から壁画の『最後の審判』に至るまで、壮大なスケールが完璧なプロポーションで視界を覆い尽くします。
「本物の名画が一堂に集まることは物理的・政治的に絶対にあり得ないが、ここには西洋美術史の全貌が存在する」――現地の解説員が語るように、ルーヴル美術館、ウフィツィ美術館、プラド美術館、メトロポリタン美術館など、世界各地に散らばる名作が、時代順に整理された状態で一つの施設に収まっています。渡航費に数百万円と数カ月の歳月をかけなければ不可能な美術遍歴が、鳴門の地で数時間の散策として完結する構造そのものが、来館者に「桁外れにすごい」と実感させる最大の根拠となっています。