野崎守というキャラクターを語る上で、阿部寛という稀代の俳優の存在を外すことはできない。190センチを超える長身から繰り出されるダイナミックなアクションと、スマホを小器用に操作する愛らしさのギャップ。この対比が絶妙だった。
肉を食らい、豪快に笑い、時には部下の死に人目もはばからず涙を流す。従来の陰湿で冷酷な「公安」のイメージを覆す、圧倒的な血通う人間らしさ。阿部寛でなければ、野崎は単なる強引な捜査官で終わっていたかもしれない。彼がスクリーンで放つ存在感そのものが、この作品の強度を数段上に引き上げたのは間違いのない事実だ。