本作が単なる一過性のブームで終わらなかった最大の理由は、朱野帰子による同名小説の持つ鋭い批評性と、主演の吉高由里子が吹き込んだ軽やかな生命力にある。吉高が演じる東山結衣は、決して超人的なスーパーウーマンではない。仕事はきっちりこなすが、無駄な残業はしない。定時になれば周囲の目を気にせずデスクを片付け、行きつけの上海飯店で小籠包を頬張る。その飾らない佇まいが、組織の同調圧力に押しつぶされそうな視聴者の心を解きほぐした。
「無理をして働いても、会社は命まで責任を取ってくれない」。作中で投げかけられる冷徹な真実は、労働環境の再構築が進む今だからこそ、より切実な重みをもって響く。感情論に流されず、それでいて冷淡にもならない。吉高由里子の絶妙なバランス感覚が、物語を説教臭い教訓劇から極上のエンターテインメントへと昇華させた。