原作屈指の鬱展開として名高いエピソードだけに、劇場版でどの程度まで過激なシーンが再現されるかは公開前から大きな議論を呼んでいた。結論から言えば、映像倫理の限界に挑みつつも、映画の尺に収めるための大胆な取捨選択が行われている。
特に聖王女カルカを巡る凄惨な扱い(通称「人間棍棒」)は、直接的なゴア描写を巧妙なカメラワークや陰影、そして凄惨な効果音によって演出する手法が採られた。完全に視覚化するのではなく、観客の想像力に委ねることで、かえって精神的なショックを増幅させている。
一方で、ネイア・バラハの心理描写や、聖王国軍内部の泥沼の権力闘争など、原作でじっくり描かれた一部のサブエピソードはテンポ重視で削ぎ落とされた。これに対し原作原理主義者からの惜しむ声はあるものの、長編の映画化としては無駄を排した極めてソリッドな構成だったと評価できる。