「今年すでにA型にかかったから、もうインフルエンザにはかからない」という認識は完全な誤解です。A型とB型はウイルス学的に全く異なる属であり、交差免疫(片方にかかることでもう片方にも効く免疫)は成立しません。
医療現場では、1月にA型を発症して回復した患者が、3月にB型に感染する「連続感染」が日常的に確認されています。さらに稀ではあるものの、家族内や職場で双方が同時流行している環境下では、A型とB型に一度に感染する「同時感染(重感染)」の症例も報告されています。同時感染した場合、高熱と重い胃腸炎が同時に押し寄せるため、身体への負担は極めて過酷になります。
このリスクを回避する上で最も確実な防壁となるのが、毎秋に実施される定期予防接種(4価ワクチン)です。現在のインフルエンザワクチンは、A型2系統・B型2系統の計4種類の株を網羅して製造されています。ワクチンは「絶対に感染しない魔法の薬」ではありませんが、発症時の重症化リスク、特に乳幼児のインフルエンザ脳症や高齢者の誤嚥性肺炎・多臓器不全による死亡率を有意に低下させることが統計的に証明されています。