消費者の間には長年、「施設が直接運営している直営売場の商品は、テナントのショップよりも品質が確かで安心できる」「中間マージンがないから直営の方が必ずお得」という強い固定観念が存在します。しかし、流通業界の現実をつぶさに検証すると、必ずしもこの認識が正確ではないことが分かります。
まず価格と品質の相関関係における誤解です。プライベートブランド(PB)を中心とする直営商品は、スケールメリットを活かした大量発注によって低価格・高品質を実現しているケースが多々あります。これは直営店のメリットの最たる例です。しかし、直営のアパレルや日用品売場においては、売れ残った商品を自社内で抱え込むリスクを嫌い、無難で差別化の乏しい汎用品ばかりが並ぶという弊害も生じやすくなります。結果として、トレンド感や専門的な機能性においては、特定ジャンルに特化した外部テナントの方が圧倒的に優れた商品を提供している場面が珍しくありません。
もう一つの盲点は接客品質です。「直営だから従業員の教育が行き届いている」と思われがちですが、実際には極端なコスト削減策により、直営売場の大半が短時間勤務のアルバイトやパートスタッフで構成されている店舗も存在します。一方で、有力テナントは自社ブランドの看板を背負った専属プロ販売員を配置するため、専門的な知識やカウンセリングの質においてはテナントの方が満足度が高いという逆転現象が頻繁に起きています。