SNSや韓流コミュニティ、視聴者のリアルな感想を丹念に検証すると、多くのコアファンが口を揃えて「チ・チャンウクの真骨頂」として挙げるのが、大ヒット歴史劇『奇皇后〜ふたつの愛 涙の誓い〜』における元朝皇帝タファン役です。
当初、タファンというキャラクターは権力闘争に怯え、命乞いをする情けない臆病者として描かれました。一般的な歴史ドラマであれば視聴者に疎まれかねない設定です。しかし、チ・チャンウクはこの人物が抱える幼少期のトラウマ、愛するスンニャン(ハ・ジウォン)に執着するあまり狂気へと堕ちていく哀愁、そして命を賭して愛を貫く純粋さを生々しく体現しました。ネット上のレビューでも「最初は頼りなくて苛立ったのに、いつの間にかタファンの孤独に涙が止まらなくなっていた」「あの狂気の瞳は彼にしか演じられない」と絶賛され、奇皇后タファン役の評判は彼の演技キャリアにおいて決定的な転換点として語り継がれています。
さらに、一般にはあまり知られていない隠れた名作として、キャリア初期の週末ホームドラマ『ソル薬局の息子たち』(2009年)の存在も見逃せません。最高視聴率40%超を記録した本作で、彼は気弱で心優しい末っ子ミープンを演じました。赤ん坊の世話に奮闘しながら成長していく瑞々しい姿は、現在のアクションスターとしての彼からは想像もつかないほど素朴で愛嬌に満ちています。当時の現場取材記録やインタビューでも、ベテラン俳優たちに囲まれながら真摯に役と向き合う謙虚な姿勢が報じられており、この時期に培われた「日常のペーソス(哀愁)を演じる力」が、近年の『サムダルリへようこそ』におけるチョ・ヨンピル役の温もりへと確実に受け継がれています。