乃木坂46の歴史を振り返る際、ファンの間で「西野七瀬のアイドル時代は可愛すぎる」と今なお語り草になる理由は、単なる造形の美しさだけにとどまりません。彼女が放っていたのは、どこか頼りなげで、風が吹けば消えてしまいそうな「守ってあげたいと思わせる圧倒的な儚さ」でした。
芸能界入りを自ら熱望してガツガツと前へ出るタイプではなく、オーディションの応募理由も「母親が看護学校への進学を控えていた娘の将来の選択肢を広げるために応募書類を送ったこと」が発端でした。高校2年生だった2011年8月、大阪から上京した彼女は、人見知りで泣き虫な性格から、初期の選抜発表や番組収録でもカメラの前で涙をこぼす姿が頻繁に見られました。
しかし、その不完全さや自信のなさが、かえってファンの「庇護欲」を強く刺激します。従来の昭和・平成型アイドルに多かった「完璧な笑顔を振りまく完成されたスター」とは一線を画し、成長のプロセスと苦悩を隠さず共有する姿こそが、のちの国民的ブームを牽引する無敵の引力となっていきました。