旅行者が最も陥りやすい落とし穴が、「倉敷美観地区に行くなら新倉敷駅で降りればよい」という思い込みです。実際には、東京や新大阪方面からアクセスする場合、新倉敷駅ではなく岡山駅で新幹線から在来線(山陽本線・伯備線)に乗り換えるルートのほうが本数・所要時間ともに優位になるケースがほとんどです。
山陽新幹線において、新倉敷駅は「のぞみ」「みずほ」が全列車通過し、昼間時間帯の停車は基本的に1時間に1本の「こだま」と一部の「ひかり」に限られます。なぜ新倉敷駅はこれほど速達列車に通過されるのでしょうか。その真相は、東隣のターミナル・岡山駅との駅間距離(わずか約26km・新幹線で約11分)と、山陽新幹線全体の運行ダイヤグラムの構造にあります。
新倉敷駅は本線2線(通過線)の外側に副本線2線(待避線)を持つ構造(2面4線)となっており、国鉄時代から「後続の超特急を先に行かせるための待避駅」として設計されています。東海道・山陽新幹線の生命線である「のぞみ」を高速走行させるため、新倉敷駅で各駅停車の「こだま」を退避させる運行ダイヤが定着しました。この機能分担こそが、現在の通過ダイヤを決定づけています。