港湾施設や海員会館の重厚なエントランスを前にしたとき、多くの訪問希望者が抱く最大のハードルが「関係者以外立ち入り禁止ではないか」という心理的障壁です。海員生協の食堂一般開放の真相を端的に言えば、部外者の排除を目的としたゲート管理は敷かれておらず、一般のビジネスパーソンやドライバー、港湾ファンであっても入店・食事が可能となっています。
もともと全日本海員生活協同組合は、過酷な海上勤務に従事する船員や港湾関係者の生活物資供給・福利厚生を目的として設立された歴史的背景を持ちます。そのため建物外観や看板には組合名が厳格に掲出されており、商業施設のような親しみやすい看板や誘導表示は一切見当たりません。これがネット上で「会員制」「紹介制」という憶測を呼んだ最大の要因です。
現場の運用実態を観察すると、フロア内に設置された券売機で食券を購入し、カウンターへ差し出すセルフサービス方式が採用されています。組合員証の提示を求められることもなく、実質的に全日本海員生協川崎の一般利用は完全に開かれた状態を維持しています。敷居の高さを感じさせる無機質なビルの中に足を踏み入れれば、そこには誰もが平等にエネルギーを補給できる温かな大衆食堂の風景が広がっています。