健診前夜、多くの受診者が「少しでも数値を良く見せたい」という心理から、夕食を極端に減らしたり、逆に最後の晩餐とばかりに早い時間帯に脂っこい食事を済ませたりする行動に出ます。しかし、検査現場のデータが示す現実は非情です。健康診断の前日の食事と中性脂肪には極めて密接かつダイレクトな相関が存在します。
中性脂肪は、コレステロールと違って「直近の食事内容」に極端に左右されやすい性質を持ちます。前夜に焼肉や揚げ物、ラーメンなどの高脂肪・高糖質食を口にすると、食後10時間以上が経過していても血中のカイロミクロン(食事由来の脂肪粒子)が分解しきれず、数値が普段の1.5〜2倍近くに跳ね上がることが珍しくありません。同様に、前夜の過度なアルコール摂取も翌朝の肝臓からのVLDL(超低比重リポ蛋白)の過剰放出を招き、一時的な異常高値を作り出す元凶となります。
医療機関の問診ブースでは、「前日20時までに夕食を済ませたが、実は深夜に小腹が空いて菓子パンや清涼飲料水を口にしてしまった」「前夜遅くまで深酒をして健診に臨んだ」と打ち明ける受診者が後を絶ちません。健康診断で中性脂肪に引っかかった際、それが日常的な基礎値の悪化なのか、それとも前日夜の行動による一時的な乱反射なのかを切り分ける必要があります。不正確な検査結果は正確な医療判断を狂わせるため、前日は脂身の多い食事や飲酒を厳に慎み、10〜12時間の完全な絶食状態で採血を受けることが鉄則です。