多くの人が涙したドラマ版(フジテレビ系)と、2004年に公開された映画版(岡村力監督)の最大の違いは、「フィクションとしてのドラマ性」と「実話の再現度」のバランスにあります。
ドラマ版では、主人公の恋人役となるクラスメイト「麻生遥斗(演:錦戸亮)」が登場し、切ない青春ラブストーリーが物語の大きな軸となりました。しかし、この麻生くんというキャラクターはドラマオリジナルの架空人物です。実際の木藤亜也さんの青春時代には、あのような形での恋愛関係は存在していませんでした。
対して映画版『1リットルの涙』は、木藤亜也さんの原作手記『1リットルの涙』および母・木藤潮香さんの著書『いのちのハードル』を忠実にトレースしています。過度な脚色や劇的な演出を削ぎ落とし、病魔が少しずつ自由を奪っていく恐怖、家族の献身的な支え、そして養護学校での日々に焦点を当てたストイックな構成が、観客の胸に深く迫ります。