アダンの価値は、実や防災機能だけにとどまりません。古くから琉球弧の島々では、その葉が生活用具や工芸品の最高級素材として利用されてきました。
沖縄の代表的な伝統工芸であるアダン葉細工と民芸品は、葉の縁と裏側にある無数の鋭いトゲを1本ずつ丁寧に削ぎ落とし、茹でて天日干しした繊維を編み上げて作られます。緻密に編まれた「アダン葉帽子(パナマ帽)」や敷物、草履、かごは、驚くほど軽量でありながら水に強く、何十年も使い続けられるほどの耐久性を持ちます。かつて近代沖縄の重要な輸出産業としても島経済を支え、現代でもサステナブルな天然素材の手仕事として再評価が進んでいます。
なお、アダンの花言葉と特徴として知られているのは「慎重」「繊細な美しさ」です。葉にびっしりと並ぶ鋭いトゲで果実を守る警戒心の強さと、その内側に秘められた甘い芳香や白く美しい雄花・雌花のコントラストから、この詩的な花言葉が名付けられました。