放送当時、ネット上では本作に対して「アクションが非現実的すぎる」「武蔵刑事が不死身すぎる」といった批判的な声も散見されました。しかし、制作プロデューサーや演出陣が目指したエンターテインメントの方向性を検証すると、それらは計算された演出であったことが分かります。
武蔵三郎が絶体絶命の危機に瀕するたびに口にする決め台詞「嘘だろ…」は、全10話を通じて計20回以上発せられました。爆風で吹き飛ばされても、ドローン銃撃を受けても、高所から落下しても驚異的な回復力で立ち上がる武蔵の姿に、当初SNSでは「ツッコミ待ちのギャグドラマか」と揶揄する投稿もありました。
しかし、第3話・第4話と進むにつれ、視聴者の受け止め方は劇的に変化していきました。「今週は何回『嘘だろ』が出るか」「武蔵がどれだけ満身創痍になるか」というゲーム感覚の鑑賞スタイルが定着。5ちゃんねるやXでは、放送開始とともに実況投稿が1分間に数万件ペースで押し寄せるお祭り状態へとシフトしました。
現場関係者の証言によると、主演の櫻井翔自身もこの「ツッコミも含めて楽しんでもらう熱量」を意識しており、泥臭くボロボロになりながらも立ち向かう昭和の刑事像をあえてケレン味たっぷりに演じていたとされています。荒唐無稽に見える設定の裏側に、警察権力の暗部や情報格差というシリアスなテーマを配置したハイブリッド構造こそが、幅広い世代を熱狂させた要因でした。