華やかな戦績の裏で、選手や保護者を取り巻く日常にはどのような葛藤があるのか。複数の現場関係者への取材から、リアルな肉声が浮かび上がってきました。
「部活動ガイドラインが厳格化され、平日の練習時間が制限されるなか、学校の練習だけでは全国はおろか県大会の初戦突破すら覚束ないのが本音です」
横浜市内の公立中学校で長年バドミントン部顧問を務めるベテラン教員は、苦悶の表情でこう語ります。放課後の練習時間は実質1時間半足らず。休日の活動も制限されるなかで、競技経験のない教員が戦術指導までカバーすることは不可能です。そのため、本気で中学バドミントン関東大会予選結果で上位を狙う家庭のほぼ100%が、夜間に民間クラブや個人レッスンを併用しています。
一方、クラブチームに所属する保護者からも特有の悩みが聞こえてきます。県央エリアの強豪ジュニアクラブに中学生の息子を通わせる母親は、家計と送迎の負担について次のように明かしました。
「月謝自体は2万円台ですが、水鳥シャトルの価格高騰が直撃しています。1ダースあたり4,000円台後半まで値上がりし、練習試合や遠征が重なる月は道具代と交通費だけで5万円以上が飛んでいく。さらに、平日の夜間練習は公共体育館の抽選次第で場所が転々とするため、車での送迎に親が拘束され続ける毎日です」
SNSや知恵袋などのコミュニティでも「公立中で全中を目指すのは無謀なのか」「私立強豪のセレクションに漏れた場合、どこで腕を磨くべきか」といった切実な相談が後を絶ちません。強豪私立のように冷暖房完備のコートで毎日練習に打ち込める恵まれた環境と、限られたリソースを工面しながら戦う一般家庭との間には、目に見えない「環境格差」が厳然として横たわっています。