電気料金の請求書を見て「こんなはずではなかった」と青ざめるケースが最も頻発するのが、契約形態の違いによる固定費の負担です。電気事業者との契約は、用途や引き込み方式によって「電灯契約」と「動力契約」に明確に二分されています。
単相200Vは、一般家庭や小規模オフィスで使われる電灯契約(従量電灯B/Cなど)の範囲内で使用できます。電灯契約は基本料金がアンペア数に応じて数百円から数千円程度に抑えられており、使わなければ電気代はそれほど跳ね上がりません。
一方、三相200Vを使用するためには、各地域の電力会社と動力契約(低圧電力プランなど)を個別に結ぶ必要があります。動力契約は、稼働時の「電力量料金単価(1kWhあたりの単価)」が電灯契約よりも大幅に低く設定されている点が最大のメリットです。機械を朝から晩までフル稼働させる町工場やベーカリーでは、電力量料金の安さによってトータルの光熱費を大幅に圧縮できます。
しかし、そこには「高額な基本料金」という大きなハードルが潜んでいます。動力契約の基本料金は、接続する機器の合計出力(kW)をベースに算出され、大手電力各社の基準で契約電力1kWあたり概ね1,100円〜1,250円前後の固定費が毎月必ず請求されます。仮に5kWの三相機器を設置した場合、スイッチを一度も入れない月であっても、約5,500円〜6,000円前後の基本料金が電灯契約とは「別枠」で口座から引き落とされ続けます。
経済産業省の資源エネルギー庁が公表している電力取引関連のデータや現場の電気設備管理者の試算を総合すると、店舗などでエアコンを夏と冬の数カ月間しか動かさない場合、年間の固定基本料金が電気代削減分を大きく上回り、実質的に大赤字に陥るケースが頻発しています。「動力プランは電気代が安くなる」という断片的な知識だけで契約を結ぶと、年間数万円単位の無駄な維持費を垂れ流し続けることになります。