高度な薬物療法やチーム医療の最前線に立つ病院薬剤師年収1000万が難しい理由は、医療機関の収益構造と診療報酬体系そのものに起因しています。病院において薬剤師の業務は「病棟薬剤業務実施加算」などを算定できるものの、医師の手術料や高度検査費用のように直接巨額の診療報酬を生み出すプロフィット部門とは見なされにくい側面があります。
大学病院や公立病院、総合病院の給与体系は年功序列型の公務員給与に準拠しているケースが多く、30代の平均年収は450万〜550万円程度にとどまります。当直勤務や夜間呼び出し、がん薬物療法認定薬剤師などの高度な専門資格を多数取得しても、月数千円〜数万円の手当が加算される程度です。薬剤部長や副院長クラスに上り詰めても年収800万〜900万円前後が限界であり、雇われの身のまま年収1000万円を達成することは構造上ほぼ不可能です。臨床現場での知見や社会貢献度の高さと、金銭的リターンの乖離は、医療社会学の観点からも深刻な課題として議論され続けています。