ネット上で囁かれる「電験3種の難易度急変説」を検証するにあたり、まずは客観的な数値の推移を押さえる必要があります。かつて紙のマークシート方式で年1回のみ実施されていた時代、電気主任技術者合格率は例年8〜9%台、難問の年に至っては5%前後にまで落ち込む極めて過酷な水準でした。しかし、年2回試験の実施とCBT(Computer Based Testing)方式が定着した直近の動向を見ると、最終的な試験全体の合格率は15%〜20%前後にまで引き上がっています。
このデータだけを切り取れば、「電験3種は易化した」と結論づけたくなる心理も理解できます。しかし、電験3種難易度の構造変化を取材した大手資格予備校の関係者は、次のように警鐘を鳴らします。「易化したのではなく、受験機会が年2回に倍増したこと、そして過去問の類似問題がCBTの出題プールから一定割合で抽出されるようになったことで、真面目に過去問演習をやり込んだ層の取りこぼしが激減したというのが実態です。問題そのものの本質的な物理・数学の要求レベルが下がったわけではありません」。
CBT方式試験日程は上期と下期それぞれに約1ヶ月間の受験枠が設定され、全国のテストセンターで希望日を選んで受験できるようになりました。この利便性の向上が合格者数を押し上げているのは紛れもない事実ですが、基礎的な微分積分や高校物理レベルの電気回路知識を持たない完全初学者が無対策で挑めば、PC画面の前で手も足も出ずに撃沈する厳しさは今も何一つ変わっていません。