実家の相続において、専門家が口を揃えて「絶対にやってはいけない」と警告するツートップが、安易な共有名義による登記と活用アテのない現状放置です。「揉めたくないから法定相続分通りに兄弟3人で共有にしよう」という判断は、一見すると公平で平和的な妥協案に見えます。しかし実態は、単に決断を先送りにしただけであり、次世代以降に莫大な火種を押し付ける無責任な選択に過ぎません。
共有名義にした不動産は、売却はもちろん、賃貸に出すにも大規模修繕を行うにも、共有者全員の合意や過半数の賛成が法律上必須となります。年数が経ち、兄弟の誰かが亡くなって二次相続が発生すれば、顔も合わせたことのない甥・姪、さらにはその配偶者へと権利が細分化します。司法書士の現場では「親の実家を処分しようと戸籍を辿ったら、共有者が20人以上に膨れ上がり、1人でも認知症や行方不明者がいたため売却が完全に暗礁に乗り上げた」という悲惨な事例が日常的に報告されています。
もう一つの大罪である放置も、かつてのような「持っているだけなら損はしない」時代は完全に終わりました。人が住まなくなった木造住宅は、通風や通水の停止によって急速に傷みます。外壁の崩落や庭木の越境、害虫の発生は近隣トラブルの元凶となり、後述する行政処分の対象へと一直線に進んでいきます。「どう分けるか決められないから放置する」という消極的な態度は、資産を確実に負債へと変貌させる引き金です。