「名古屋の街頭で立ちんぼが急激に増えた」という言説がネット上で定着した背景には、単純な人数の絶対的増加とは異なる構造的な要因が存在します。地元関係者や夜の街を定点観測するジャーナリストの間で共通して指摘されているのは、「居場所の喪失に伴う路上への押し出し効果」です。
新宿の「トー横」と並び称された名古屋の若者の集積地、いわゆる「ドン横(中区栄のドン・キホーテ栄店周辺)」は、再開発計画に伴い広場機能が閉鎖されました。深夜に行き場を失った少年少女やオーバードーズ(過剰服薬)を抱える若者たちは完全に姿を消したわけではなく、近隣の白川公園、池田公園、あるいは女子大小路の雑居ビル街へと四散しました。その過程で、生活費やホストクラブへの売掛金返済に窮した一部の女性たちが、路上に立たざるを得ない状況へと追い込まれたのです。
さらに見逃せないのは、SNSと路上を組み合わせた「ハイブリッド型アプローチ」の浸透です。以前のように何時間も街角に立ち尽くすスタイルから、あらかじめマッチングアプリやSNSで大まかなアタリをつけ、指定した路上で合流して最終確認を行うという手口が定着しました。この行動様式が通行人の目に触れやすくなり、「昼夜を問わず立ちんぼが増えている」という印象を増幅させている側面があります。