大手予備校の指導教官やTOEIC専門講師への取材、さらにSNSや知恵袋等の質問コミュニティに寄せられる数万件のデータを検証すると、英語学習者が副詞句でつまずく背景には共通した「認知の歪み」が存在します。
都内の難関大受験専門塾で20年以上の指導歴を持つ主任講師は、指導現場の実態を次のように明かします。
「文法問題で失点する生徒の多くは、単語単体しか見えていません。例えば in the morning を単に『朝に』という日本語訳のラベルとして暗記しており、それが文の中で動詞にかかっているのか、直前の名詞にかかっているのかという『矢印の方向』を意識できていないのです。その結果、文が長くなると品詞の境界が崩壊し、勘で読解する癖が固定化してしまいます」
ソーシャルメディア上の学習記録や質問掲示板でも、以下のような切実な悩みが日常的に投稿されています。
「前置詞の後ろは名詞が来るから名詞句だと思っていたら、文全体では副詞句と言われてパニックになった」(20代・TOEIC 500点突破を目指す社会人)
「修飾語(M)は捨てて読めと教わったが、副詞句を読み飛ばすとストーリーの因果関係がまったく分からなくなる」(高校3年生・受験生)
認知心理学および第二言語習得論(SLA)の観点から分析すると、日本語と英語の「修飾語の位置関係の根本的な違い」がこの問題に拍車をかけています。日本語はどんなに修飾語が長くても必ず修飾対象の『前』に置かれる(前置修飾)言語です。しかし英語は、2語以上の塊になると修飾対象の『後ろ』に置かれる(後置修飾)性質を持ちます。この言語構造のギャップを脳内で処理しきれず、認知負荷(Cognitive Load)がオーバーフローすることが、副詞句の識別につまずく真のメカニズムです。