歯が抜け落ちた瞬間から、目に見えないカウントダウンが始まっています。最も恐るべき敵は「乾燥」です。抜けた歯が空気に晒された状態が続くと、歯根膜細胞は急速に脱水症状を起こし、常温乾燥状態での生存限界は約30分とされています。
日本外傷歯学会の臨床統計や各種外傷歯データを総合すると、受傷からの経過時間と保存媒体によって、歯が生着する確率には天と地ほどの開きが生じます。
乾燥状態で1時間を経過してしまうと、生きた歯根膜としての機能回復は極めて絶望的になります。その場合でも、歯をスペースキーパー(義歯やインプラントを入れるまでの骨幅維持)として意図的に元の位置に戻す処置をとることはありますが、自身の生きた組織として元通りに機能させるためには「何としても受傷後30分以内の歯科着」あるいは「数分以内の適切な保存液投入」が絶対防衛ラインとなるのです。