「便に出ているなら安心」という原則がある一方で、決して見過ごしてはならない危険な例外が存在します。それが、胃や腸の中で被毛がフェルト状に固まり、自力で排出できなくなる毛球症(もうきゅうしょう)です。胃の中で結石のように巨大化したり、小腸の細い管に毛玉がガッチリと挟まったりすると、完全な消化管閉塞(イレウス)を引き起こし、発見が遅れればショック状態に陥って命を落とす危険すらあります。
飼い主が即座に察知すべき毛球症の猫に見られる初期症状には、明確なパターンがあります。最大の警告サインは、猫が毛玉を吐きそうに頭を低く下げて「カッカッ」「オエッ」と苦しげにえずくのに何も吐かないという空嘔吐の仕草です。これは胃の出口付近に毛玉が引っかかり、強い吐き気を催しているにもかかわらず、固まりが大きすぎて噴門を通らない状態を示唆しています。
胃腸の通過障害が始まると、胃の膨満感と強い不快感から猫の食欲不振と毛玉の詰まりが直結して現れます。昨日まで好物だったドライフードに口をつけなくなったり、水を飲んだ直後に吐き戻したり、排便が数日間ストップして小さな硬いコロコロ便しか出なくなったりしたときは警戒度を引き上げなければなりません。腹部を軽く触ろうとした際に激しく嫌がる、うずくまって動かないといった様子が見られたら、胃腸内で毛玉が閉塞を起こしている限界サインです。これらの一刻を争う異常を確認した場合は、様子見を即座にやめ、猫が毛玉を吐かない際の病院受診の目安としてただちに動物病院へ直行してください。