Googleなどの検索窓に「一宮西高校」と入力すると、「進学実績 落ちた」「定員割れ」といった不穏なキーワードがサジェスト表示されることがあります。長年受験指導に携わる関係者への取材と公式データから、この噂の背景を紐解きます。
「進学実績が落ちた」と言われる構造的理由
「実績が落ちた」という声が上がる背景には、2つの構造的要因があります。1つは、過去の歴史において東京大学や京都大学へ2桁近い合格者を出していた時代の印象を過度に神格化している卒業生世代の言説です。もう1つは、生徒の志向が「無理な超難関挑戦」から「堅実な国公立現役志向」へとシフトした点にあります。
過去数年間の合格実績を俯瞰すると、名古屋大学への合格者は毎年20名前後から30名前後を安定して輩出しています。さらに名古屋工業大学、愛知県立大学、岐阜大学、三重大学といった東海圏の主要国公立大学への合格者数は県内屈指の規模を維持しており、全体としての現役合格率はおよそ7割〜8割をマークしています。私立難関(南山大学、名城大学、MARCH、関関同立)の合格実績も厚く、客観的なデータとして「実績が急落した」という事実は見当たりません。
「定員割れ」の噂が発生したカラクリ
一宮西高校が定員割れを起こした事実は過去に一度もありません。ではなぜ、このような突飛な噂がネット上に残っているのでしょうか。
原因は、愛知県全体の高校入試構造の変化にあります。愛知県では私立高校授業料の実質無償化政策が段階的に拡大されたことで、名城大附属、愛知、滝などの私立強豪校へ単願で進学する学力上位中学生が急増しました。その影響で、愛知県内の公立高校全体で志願倍率が軟化し、一部の中堅公立高校で二次募集(定員割れ)が相次ぐ事態が発生しました。この「愛知の公立高校離れ・定員割れ問題」という全県的なニュースが、ネットのまとめサイト等で尾張の名門校である一宮西高校の名前と結びつけられ、誤った形で拡散してしまったのが真相です。