「無料であげます」という魅力的な謳い文句の背後には、主に4つの決定的な構図が存在します。第一に挙げられるのが、近年警察庁や国民生活センターへ相談が急増している「前払い送料・空輸代名目の詐欺」です。海外や遠隔地に居住していると偽る投稿者が「愛犬の豆柴が出産したが、急な転勤で飼えない。生体代は一切不要なので、空輸用ケージ代と輸送費の3万〜5万円だけを指定口座に振り込んでほしい」と持ちかけ、送金を確認した瞬間にアカウントを消去して音信不通になる手口です。この手口では、他人のSNSから無断転載した愛らしい子犬の写真や動画が巧みに悪用されています。
第二の構図は、パピーミル(悪質繁殖業者)による病弱個体の在庫処分・責任転嫁です。骨格の異常、心臓疾患、極端な噛み合わせ不良、あるいは遺伝性疾患の発現など、ペットショップの流通ルートに乗せられない子犬を「一般飼い主の余剰出産」と偽って無償放出し、動物愛護管理法に定められた終生飼育義務や獣医療費の負担から逃れようとする実態が存在します。
第三には、一般家庭における「不妊去勢手術を怠った結果の望まない妊娠・多頭飼育崩壊予備軍」からの流出です。柴犬特有の気質や運動量に対する無理解から室内飼育が破綻し、生後数ヶ月の子犬を抱えきれなくなって地域掲示板へ駆け込むケースです。そして第四に、正規の専門犬舎や動物保護団体による「繁殖引退犬や育ちすぎた若犬の適正な里親募集」が存在しますが、この正規ルートにおいて「生後2〜3ヶ月の健康な子犬が誰にでも無条件で無償譲渡される」ことは原則としてあり得ません。