インターネット上の掲示板やSNSでは、軽度知的障害に関する誤った情報や偏見が散見されます。その最たるものが「普通に会話できるしスマホも使えているのだから、障害ではなく単なる努力不足や甘えだ」という言説です。
軽度知的障害の人は、日常会話やスマートフォンの操作、SNSの閲覧などはスムーズに行えます。しかし、これは「経験による習慣化」や「直感的なインターフェース」に助けられているに過ぎません。トラブルが発生した際の原因分析や、予測不能なアクシデントに対する代替案の立案といった、高度な「概念的思考」が求められる局面で脳の処理機能がフリーズしてしまうのが本質です。「普通に見える」からこそ、周囲から実態以上の高すぎる能力を期待され、それが達成できないと「やる気がない」「不誠実だ」と理不尽に叱責されるという悪循環に陥ります。
また、「大人になってから軽度知的障害を『発症』した」という言説も医学的な誤謬です。知的障害は先天性または発達期(18歳未満)における中枢神経系の機能不全に基づくものであり、大人になってから突如発症するものではありません。学生時代は親や教師の手厚いフォローがあったため目立たなかったものが、自立を迫られる社会人期に環境の変化によって「表面化した」に過ぎないのです。気合や根性で脳の認知特性を克服することは不可能であり、無理な適応努力は心身の健康を損なうだけです。