移住者の心を最初にへし折るのが、冬の除雪と寒さの現実です。道内でも地域によって気候特性は大きく異なりますが、豪雪地帯(空知地方、後志地方、留萌地方など)では一晩で50センチ以上の雪が積もることも珍しくありません。湿気を含んだ雪は極めて重く、腰痛や関節痛を患う移住者が続出します。
現地で暮らす元本州在住者は、当時の手記で次のように現場の過酷さを吐露しています。
「朝、玄関のドアを開けようとしたら雪の圧力で開かない。無理やり隙間から這い出て、車の屋根から雪を下ろし、道路までの通路を確保するだけで1時間半。手足の感覚はなくなり、会社に着く頃には気力も体力も限界を迎えていた。これを年に何十回も繰り返す生活が一生続くのかと考えた瞬間、絶望で涙が出た」
また、住宅の防寒性能にかかわらず直面するのが暖房費と灯油代の高騰です。北海道の戸建てや集合住宅では、490リットル規模の屋外ホームタンクから灯油を各部屋のストーブに供給するシステムが一般的ですが、厳冬期には1ヶ月で200〜300リットル前後の灯油を平気で消費します。
資源エネルギー庁の石油製品価格調査を見ても、灯油価格は過去数年にわたり高止まりを継続しています。真冬のピーク時には、灯油代だけで月3万〜5万円、これに加えて照明や調理の電気・ガス代を合わせると、1ヶ月の光熱費が7万〜9万円に達する世帯も珍しくありません。「冬の間は光熱費を払うために働いているようなもの」という自嘲が道民の間で交わされるほど、冬の家計負担は過酷を極めます。