ネット上のコミュニティや知恵袋で定期的に浮上する「豊洲PITの後方は埋もれて見えない」という噂の真相を突き詰めると、この会場特有の段差配置と視線角度のメカニズムに行き当たります。
結論から申し上げれば、「後方だから見えない」のではなく、「段差と段差の間のフラットエリア中間部に立つと見えなくなる」というのが物理的な真実です。会場内には前方から後方にかけて複数の段差が設置されており、それぞれの段差の手前には頑丈な鉄製の手すり(安全柵)が横断するように張り巡らされています。
段差自体の高さは約30cmあり、一般的な成人男性の頭半分から1つ分以上の高低差を生み出します。そのため、段差の最前列(柵に手をかけられるポジション)を確保できた場合、視線が前方の観客の頭上を抜けるため、たとえフロアの後方ブロックであってもステージ上の演者の膝から上をクリアに視認できます。
一方で悲劇が起きるのは、各段差と段差の間に広がる「数メートルの平坦(フラット)な床面」の2列目以降に埋もれたケースです。この位置に入ってしまうと、自らの足元には傾斜がないにもかかわらず、すぐ数歩後ろには段差上の観客が迫り、目の前には同等の背丈を持つ観客が密集します。結果として視界の逃げ場が完全に塞がれ、「ステージ方向が一切見えず、前の人の背中と後頭部しか見えなかった」という過酷な事態が発生します。