都内の人気ジェラテリアや商業施設を取材すると、利用者の受け止め方と製品の物性には興味深いギャップが浮き彫りになります。SNSや口コミサイトを分析すると、以下のような消費者の声が多く集まっています。
「ジェラートのほうが口当たりが濃厚に感じるから、生クリームが大量に入っていると思っていた」
「食後にアイスを食べると重たくて罪悪感があるが、ジェラートなら喉が渇かずすっきり終われる」
「コンビニのカップアイスと専門店のアイスで、なぜここまで後味の残り方が違うのか不思議だった」
現場で腕を振るうベテランジェラティエーレは、このギャップについて次のように解説します。
「人間の舌は、冷たすぎるものに対して油分しか感じにくくなります。市販の大量生産アイスは、長期間の冷凍輸送に耐えるため、高い乳脂肪分や安定剤に頼らざるを得ません。一方、専門店で作るジェラートは、数日以内の消費を前提に毎朝仕込みます。乳脂肪に頼らなくても、素材本来のペーストと牛乳のタンパク質を極限まで微細に乳化させ、空気の混入を抑えることで、あのベルベットのような滑らかさを実現しているのです」
つまり、消費者が感じる「濃厚さ」の正体は脂質の多さではなく、練り上げられたテクスチャーの密度と素材の濃さにほかなりません。