行政書士試験において、受験資格に関する制限は文字通り存在しません。試験の指定試験機関である一般財団法人 行政書士試験研究センターの公式発表においても、受験資格は「年齢、学歴、国籍等に関係なく、どなたでも受験できます」と明記されています。小学生や中学生であっても、あるいは90歳を超える高齢者であっても、願書を提出し手数料を納付すれば全員が同じ試験場で机を並べることができます。
令和8年度(2026年度)の試験実施スケジュールを見ても、この開かれた制度設計に揺るぎはありません。試験日は2026年(令和8年)11月8日(日)の午後1時から午後4時、受験願書の配布期間は7月21日(火)から8月17日(月)までとなっており、受験手数料は10,400円です。法学部出身である必要はもちろんなく、高校中退や中卒であっても出願時に証明書の提出を求められることすらありません。
なぜここまで門戸が開放されているのか。その背景には、行政書士という資格が辿ってきた歴史的役割があります。行政書士法は、国民と行政をつなぐパイプ役として「国民の利便に資する」ことを目的に制定されました。官公署に提出する許認可書類の作成や権利義務に関する手続きは、本来すべての市民の日常生活に根差したものです。特定の高等教育を受けたエリート層だけに門戸を絞るのではなく、広く一般市民から有為な人材を募るという理念が、発足当初から底流に流れています。
ただし、「誰でも受験できる」という言葉を「誰でも合格できる平易な試験」と混同してはなりません。試験の門戸が広いことと、合格基準を突破できる難易度とは完全に別問題です。