ネット上のレシピ情報には、仕上がりを損ねる誤解がいくつか流布しています。その最たる例が「茹で上がったらすぐに氷水に落として色止めをする」という指示です。
青菜や一部の甲殻類では有効な手法ですが、ホタルイカを真水の氷水に浸すと、せっかくの濃厚なワタの旨味が水に溶け出し、水っぽく締まりのない味になってしまいます。色鮮やかに仕上げたい場合は、真水ではなく「2%濃度の冷たい塩水」に10秒ほどサッとくぐらせる程度にとどめるか、平らなザルに広げてうちわや扇風機で一気に送風冷却するのがプロの手法です。
もうひとつの誤解は「茹でる前に目や内臓を取るべき」という説です。生の状態のホタルイカは身が極めて柔らかいため、加熱前にピンセットで目を触ると皮が破れ、茹でる際にそこから内臓が噴出します。下処理の「3点除去」は、加熱によってタンパク質が凝固し、身がしっかり固まった後に行うのが鉄則です。