労働基準法第34条は、休憩時間について以下の「3大原則」を定めています。
- 途中付与の原則:労働時間の途中に与えなければならず、出勤直後や退勤直前に付与することは違法。
- 一斉付与の原則:事業場の労働者全員に一斉に与える(労使協定による除外規定あり)。
- 自由利用の原則:休憩時間をどのように過ごすかは労働者の完全な自由に委ねられる。
この中で最も蹂躙されているのが「自由利用の原則」です。オフィスワーク現場の取材やネット上の告発において、今なお散見されるのが「昼休み中の電話番」や「来客対応の待機」です。
大手コミュニティやSNSに投稿された現役会社員の証言には、根深い構造が表れています。
「『電話が鳴ったら取ってね、鳴らなければ休んでいいから』と上司に言われて自席で弁当を食べているが、着信音が鳴るたびにビクッとして気が休まらない。外出も実質禁止されている」(都内IT関連企業・20代社員の手記より)
司法の判断は極めて明確です。過去の最高裁判決(すし処「志ご多」事件など)でも示されている通り、指示があれば直ちに業務に従事しなければならない待機状態は、法的に「手待時間(てまちじかん)」と呼ばれ、完全な「労働時間」と判断されます。電話が1本も鳴らなかったとしても、電話機の前に拘束されている時点で自由利用の原則は破綻しており、企業は当該時間に対して賃金を全額支払う義務があります。
仮に昼休み1時間を電話番として拘束し、別途代替の休憩時間を与えていなければ、企業側は「休憩時間の不付与」という労基法違反と、「賃金の未払い(割増賃金含む)」という二重の違法行為に手を染めていることになります。