この呪われた箱の起源は、18世紀のフランスにまで遡ります。設計・製作を手がけたのは、からくり人形(オートマタ)や精密時計の職人として知られていたフィリップ・ルマルシャン(Phillip Lemarchand)。彼は卓越した技術を持つ工芸家であると同時に、神秘主義や黒魔術に深く傾倒した人物でした。
映画『ヘルレイザー4(Bloodline)』などの設定によると、ルマルシャンはオカルト貴族であるデュ・リール公爵からの依頼を受け、人間の魂を捕獲し地獄の門を開くための装置として1784年にこのパズルボックスを完成させました。完成の儀式には生贄の血が捧げられ、幾何学的な精密構造の中に黒魔術の呪詛が完全に封じ込められたとされています。
作品の根底にある元ネタとしては、原作者クライヴ・バーカーの中編小説『ヘルバウンド・ハート(The Hellbound Heart)』に登場する「レマーチャンドの小箱」が原点です。古くから西洋に伝わる「悪魔との契約」「パンドラの箱」といった伝承を、近代的な精密機械工学とサディスティックな美学で再構築した独創的な設定こそが、この呪具の最大の魅力と言えます。