シリアスな命の奪い合いの中に突如としてぶち込まれるシュールコメディ。一見すると歪に見えるこの構成は、実は極めて緻密に計算された表現技法だ。極限の絶望を描いた直後に、笑いと滑稽さをぶつけることで、物語全体の緊張感をより一層際立たせる効果を生み出している。
王道の少年漫画であれば、特殊能力によるバトルは力と力のぶつかり合いになりがちだ。しかし本作は、概念のぶつかり合い、ひいては哲学の対立へと昇華させている。ダーク・ファンタジーという重厚なジャンルの枠組みを自在に伸縮させる演出力こそ、芥見下々が天才と評価される所以だろう。