1990年代以降、日本社会を襲った構造改革と労働市場の柔軟化。多くの主流派経済学者が「効率化の推進」を賛美していた時期に、伊藤はいち早く警鐘を鳴らしていた。労働の割安化がもたらす内需の縮小と、社会保障の弱体化による人間性の損壊である。
現在、全労働者の4割近くを非正規雇用が占め、若年層の不透明感が社会問題化している。2026年現在、ギグワークやプラットフォーム労働の拡大によって「雇われない労働者」が増加した結果、彼の指摘した「自己責任論によるコスト転嫁」の構造が完成形を見せている。予見は現実となった。