N700Sのデザイン監修を手掛けたのは、日本の新幹線デザインを長年支えてきた福田哲夫(インダストリアルデザイナー)氏率いるチームだ。彼らが直面した課題は、静止した状態で綺麗なグラフィックを作ることではなかった。
時速285キロで駅のホームを駆け抜ける瞬間、人間の視覚にどう残るか。これこそが計算の核だった。「Supreme」の頭文字である「S」を象る金色のデュアルストライプは、先頭形状のエアロダイナミクスデザインと呼応している。時速数百キロの疾走の中で、一瞬にして「最高峰の車両が通り過ぎた」という鮮烈な残像を焼き付けるための動的な仕掛けなのだ。静止画のスクリーングラフィックとして見ることと、巨大な移動体として見ることのギャップが、初期の酷評を生んだ真相である。