映画『1リットルの涙』は、15歳で発症した難病と闘い、25歳でこの世を去った木藤亜也さんの原作手記および母・木藤潮香さんの手記『いのちのハードル』を忠実に映画化したヒューマンドラマです。監督は岡村力が務め、2005年2月5日に劇場公開されました。
物語の軸となるのは、原因不明の神経難病である脊髄小脳変性症の症状に直面した少女と家族の歩みです。小脳や脊髄の神経細胞が徐々に破壊されるこの病は、意識や知能が完全に保たれたまま、歩行障害、呂律が回らなくなる構音障害、手の震え、そして嚥下障害へと身体の自由が奪われていきます。映画では、県立豊橋東高校への進学直後に訪れた異変から、進行する病状を受け止めきれずに葛藤する姿、そして愛知県立岡崎養護学校(現・特別支援学校)への転校を経て、自らの存在意義を手記の執筆に見出していく過程が克明に描かれます。
劇中では、ドラマ版のようにドラマチックに美化されたフィクションではなく、「なぜ私を選んだの」という絶望的な問いかけや、動かなくなる指でノートにペンを走らせる生々しい姿が描かれます。生きている証を文字として刻み続けた亜也さんの強い意志と、それを無償の愛で支え続けた母・潮香さんの姿は、観る者の胸に深く突き刺さります。